「物」の思い

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(いつも、うざいよなー) 上司の机から声がする。 その後もいろんな人の机から愚痴が聞こえた。 その声は止むことはなく、延々と続いた。 私は耐え切れなくなり、その日は早退した。 帰りの電車も私には苦痛だった。   (飲み会じゃなかったんですかい?やけにお早いお帰りで・・・) 家に着くと愛車が私に声をかけるが、それに構っている余裕は今の私にはなかった。 家に入るなり、一目散にテーブルのところに行く。 「ブレスレットを外す方法は本当にないの?!」 私はテーブルに懇願するように聞く。 (ないよ。少なくともボクは知らない。どうしたの?急に。外れなくたって・・・) テーブルの言葉に私は一瞬絶望するが、他の皆なら知っているかもしれないと思い、まずはベッドの方に向かった。 (ブレスレットを外したくなったんだね・・・) 「うん。でも、皆の声が聞きたくなくなったわけじゃないの。皆は私に優しくしてくれるから、もっと皆とお喋りしていたい。でも・・・」 (他の物の声が聞こえたんだね・・・)
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