「物」の思い

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ある日の朝。 私はいつものようにベッドやテーブル達と会話をしからて家を出た。 (今日は飲み会ですかい?) いつもなら車に乗って出勤するはずの私が自分にに乗ろうとしないことに気づき、愛車が私に話しかける。 「うん。だから、今日は電車で行くんだ」 私は愛車に答える。 (では、お気をつけて) 私は愛車に見送られ、駅に向かった。 電車内。 (もう、しんどいなー) 突然、声が聞こえた。 それは目の前の人が持っている鞄の声だった。 こんなことは初めてだった。 自分の物の声が聞こえても、他人の物の声が聞こえることは今までなかった。 (いい加減にしてよ!) また他のところから、別の声がする。 それは、私から少し離れたところにいる人が持っている音楽プレイヤーのものだった。 それからも、いろんなところから文句や罵声が聞こえた。 私は早く電車から降りたくて堪らなかった。 やっと仕事場に着き、ここならもう大丈夫だろうと私は思っていた。 しかし、そんなことはなかった。
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