第3章

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 「よう言うた。それでこそ、世界の本多 塁や!」  「待ってください2人とも! 私は承諾しかねます!」  「そう言うたるな、千鳥。俺らの仕事はなんや?」  「ですが…っ!」  「お願いします、千鳥さん! オレ、どうしても…どうしても帰りたいんです!」  塁のまっすぐで真剣な眼差しに、千鳥は軽くため息をついた。  「…その言葉には弱いんですよね。わかりました。」  千鳥は椅子から立ち上がり、部屋の隅にある学習机の引き出しを開けた。  「そこに飛び込むと、過去に戻れるんですね!」  「んなわけあるかい。漫画じゃあるまいし。」  「私達が使うのはこれです。」  千鳥が引き出しから取り出したのは、  「…ハリセン、ですよね?」  「一見ハリセンに見えるこれこそが、我らが頭脳、ドクター市松開発のタイムマシン『記憶吹っ飛ばしくん3号』や!」  「すんません、やっぱキャンセルします。」  塁が立ち上がるより早く、唐草がその背後に回り込み、椅子の背もたれに塁を体を、ロープでぐるぐる巻きにした。  「ちょっ、なにするんですかっ!」  「どうなっても構わん覚悟があるんちゃうんか!」  「覚悟はあるけど、どう考えてもそれじゃ帰れねぇだろ? てか、何だよ、不安しか煽らないそのネーミング! 帰れない上に、危険しかないとわかって、なお挑むヤツがいるかっ!」  「高校球児らしく、こっちの『記憶かっ飛ばしくん3号』でもええで。」  馴染みのありすぎる、ハリセンと同サイズ程度の金属棒を突きつけられ、塁は椅子ごと立ち上がった。  「まあ、これは発明品でも何でもない、ただの金属バットなんやけど。」  「助けて、お巡りさーんっ!」  「本多くん、落ち着いて。大丈夫ですよ。こんな形でこんなネーミングですが、性能は確かです。」  ハリセンから伸びるUSBケーブルをパソコンに繋ぎながら、千鳥が説明する。  「この『記憶吹っ飛ばしくん3号』で頭を叩くことにより、記憶のみを過去に飛ばすんです。」  「ようわからんけど、タイムマシンあるあるで、その時代の自分に会ったらアウト、みたいなのあるやん? だったら記憶だけを過去に戻したらええんちゃうか、って。」  「記憶だけ戻しても何も変わらないんじゃないですか?」
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