永遠の霧

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「そんなとこでそんな格好してると、体冷やすぞ」 「…オニーチャン」 後ろから掛けられた声に、珍しく晴れている空を見上げていた彼女が振り返った。 「ナニソレ笑える、ずぶ濡れのあなたに言われても冗談にしか聞こえないんだけど」 何してきたの?と言ってくしゃりと顔が歪む。 「もうすぐ盆だから、墓参り」 「ついでに潜ったんだ?」 「いえす」 「いくつになっても馬鹿だねぇ」 「お前も今日明日で行っとけよ」 「ハイハイ」 「二回返事をしない」 「ハーイ」 親子のような兄妹を、彼は感心して眺める。
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