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「にしても、開けた場所であそこまで護衛がいちゃあ難しいわな」
ヨロヨロと歩いて愚痴を吐くリッパーさん。でも、今は血が止まらないことが気になった。
いつもは防弾チョッキを着ているが、どうして貫通したのかはわからなかった。
そして、リッパーさんはドサッと道路の端っこに座り込んで、リュックサックから何かを取り出した。
ピンセットと糸、傷を縫合する為の道具だ。これらはリッパーさんが怪我したときだけに使う物で、実はほとんど無傷で済ますリッパーさんにはあまり必要無かったが、こういうときの為にとっておいたのだ。
「いちち…………よーし、縫うぞ」
意気揚々とリッパーさんは自分の傷を縫い始めた。なぜ、意気揚々と始めたのかは分からない。もしかしたら怪我したから久々に生きてることを感じているのだろうか?
「ぐっ、イテェ!やっぱイテェ!」
悶えながら傷口を縫っていくリッパーさんだが、この時は完全に無防備になっていた。
『命の危険はすぐ近くにある』、リッパーさんの知り合いの言葉だったが、次の瞬間、身に沁みることとなる。
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