悪の敵はリッパーさん！

第一話 リッパーさん生まれ変わった

ん？今度はなんだ？ああ、名前の話か？

『昔』の本名は既に捨てたしな。『今』の俺の名前はジャック・シード・ガラルハットだ。長い名前だし、何よりジャックってのが気に入った。

だってさ、偽名無しで『ジャック・ザ・リッパー』って名乗れるんだぜ？目がキラキラするってもんだ！

って言っても、このまま新しい人生で無茶なことはしたくないな。それに、今度の親父はともかく、お袋はいい人だしな。あ、俺の過去を詮索すんじゃねぇぞ？

で、二歳の俺を抱っこしてるお袋の名前がリーリャ・シード・ガラルハット、親父がジューク・シード・ガラルハットだ。

ちなみに、後の話になるが今現在、お袋が妊娠三ヶ月のことでなので弟か妹ができるっぽい。前世じゃあ一人っ子だったからなぁ。弟や妹持ちは大変って聞くけどどうなんだろう…………ん？

「ジャック？キョロキョロしてどうしたの？」

「ううん、あそこに見えるのはなに？」

あんまり呂律が回らない舌でなんか熊っぽいのが見えたのでお袋に聞いてみた。

「あー、アレはね、『ビッグベアー』って言ってね、人を襲っちゃう危険な熊だよ」

「……………………えっ？」

平然とお袋はそう告げた。