『決意の先』

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 その日から三週間が過ぎ、新学期を迎えるまで一週間を切った。僕は新学期を迎え、クラスメイト達との再会を喜ぶ瞬間を連想する余裕などなく、ただあとほんの一週間で彼女と再会する事ばかりを考え、苦悩していた。  あんな事になり、彼女はゲートを潜ったとしても僕の前には二度と姿を現さない気がした。僕が、拒絶した。彼女の事を好きな僕が。  あの日以来、僕の生活は一変した。ひたすら家に籠り、夏休み中の課題を片付けている間だけ気持ちが紛れたのは否定出来ない。  読書、課題、それを繰り返す日々は、どこかとても退屈だった。数ヶ月前まではそれが僕の当たり前の「日常」で、その日々自体に満足していた僕は確かにそこに居た。  しかし今は、何か大きなものが心から欠け始めていた。彼女の事を好きな僕は、存在してはいけない。そうあの時、言われた様な気分だった。  勉強机に向かい合う僕を、妹の由那が心配そうに背後のベットから見つめている。ここ三週間、由那は気落ちした僕を気遣いこうして側に居てくれる。  何も言わず、何も、聞かず。由那なりの心遣いが、とても嬉しい。でも、気持ちは晴れない。  最後の課題をようやく片付け、ぐっと伸びをすると同時に振り返る。そして一言、由那に言う。 「課題も終わったし、気晴らしにでも行こうか」
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