第1話

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「でも最低二人にはそう思われてる訳だよね?他にいない事を祈るけど」 『そんなにいる訳ないでしょ』と心で思いながら前を向くと、不意に神崎君の顔が浮かんできた。 いや……あれもたまたまだと一人で納得した。 「また触れたかったな……もっと話もしたかったし」 残念そうに話す佐藤さんを見ていると、私なんかがこんな素敵な人達に言われていい言葉なのかと、勿体なさと罪悪感が混ざった複雑な気持ちになる。 「そんな顔しなくても連絡するから。とりあえず一旦身を引くけど、また逢えるから安心して」 笑顔が気持ち引きつってる気がする……佐藤さんも無理してくれてるんだろうか。 車を降りて部屋に戻るとやはり、何となく寂しい気分が拭い去れなかった。 『半年以内で別れる』 ブルーな予言だな……。 シャワーを浴びて部屋着に着替えても、今日は何となくホッと出来ず、ベッドに入っても頭の中でグルグル考えていてなかなか眠れない。 何度どか布団を捲ってトイレに起き、無意識にスマホに目をやると桐谷さんからメッセージが届いていた。 『明後日はお休みだよね?明日の夜、軽いパーティあるけど一緒に出れない?』という内容。 明日も私は早番なのでその後だったら大丈夫だけど、パーティには慣れてないけど大丈夫ですか?と返信しておく。 『全然大丈夫、開始の時間は20時からだし間に合うから』と返事がきた。 慌てて明日の着替えをチェックしてみたが、服はお店の物でなんとかなりそうだ。 うちはオケージョン用の服も扱っているので、ちょっとしたパーティに着ていける物も持っている。 明日仕事が終わったら、フィッティングで着替えて帰ろう……それと、念の為お泊りになっても困らない準備もしておこう。 いつも予告なく泊りになったりするので、一応準備しておいた。 今は色んな事を頭から追い出し『明日パーティがある』だけ考えてゆっくり寝ようと思い直しベッドに身体を預けた。 次の日は何となくソワソワして、時間があっという間に過ぎた気がする。
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