第1話

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接客で少し時間が過ぎてしまい、焦りながらフィッティング着替えをしていた。 黒のノースリーブのセットアップだが、全てレースがあしらわれているのでドレスアップして見え、透け防止のインナーキャミを付け抜かりはない。 その分パンプスはエメラルドグリーンのクロコ素材にし甘さを控えた。 小さめなパーティバッグも同色で纏め、ベルトのチェーンはゴールドで肩 掛けする事もできる。 店内の鏡でチェックしてメークはトイレで直す事にした。 スマホを見ると、既に駐車場で待ってる様なので荷物を持ち車へ向かう。 「お疲れ様。ごめんね、着替えてもらう事になって」 運転席からスーツ姿のイケメンが申し訳なさそうな苦笑いをしているが、これが私の彼になった人だと思うと、二度見して確認したくなる。 細身で光沢のある素材のスーツは微かにボーダーが入り、華やかなので、パーティ向けには間違いないし、格好良さも引き立っていた。 「今日、何か大人っぽいけど可愛いね……」 そう言ってくれてる貴方の方が全然イケてるんですけど……と一人でツッコミを入れていた。 「しかも、付けてくれてありがとう」 胸元が少し開いているのと、髪をアップにしたので、華奢なネックレスがよく映え桐谷さんの目にも留まったみたいだ。 「こちらこそ、可愛いネックレス有難うございます」 お礼を言い二人で少しだけ目を合わせて、顔を赤らめる姿はちょっとしたバカップルだと思う。 「パーティはカジュアルで立食なんだけど、食べ物も美味しいしメイちゃんも楽しめると思う。俺は取引先の人と軽く打ち合わせして終わったら合流するね」 「分かりました」 桐谷さんが仕事の間は邪魔しないように、美味しい物でも食べて楽しんでおこうと若干テンションがアガる。 お酒が飲めない分『美味しい食べ物』と聞くと過敏に反応してしまう卑しい自分がいた。 着いた先の建物はウエディングもしてるような場所なので、白を基調として清潔感もあり、オープンテラスもある開放的な空間だった。
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