第1話

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飲み物(お酒類)は、ボーイさんらしき人が常に巡回しているし、立食のコーナーもかなり充実していてワクワクしてくる。 両手があくようにパーティバッグを肩から提げると、私の準備は万端の状態だった。 「じゃあちょっと行ってくるね」 桐谷さんの背中を見送っていると、早速ミセス世代や私と同年代の女性、中には若い子まで我先と話しかけている。 やっぱりモテるよね……急に遠い存在になった気がして、少し複雑な気持ちで観察していたが、話をしている桐谷さんの横顔が見えハッとして目が丸くなった。 『誰あれ……?』 そんな印象になる位の冷たい表情で、笑っていても目が全然笑ってないし、ガラス玉……いや、死んだ魚のようにも見える。 『こ、怖い……ていうか、怖すぎる』 あれが桐谷さんの仕事の時の顔だとしたら、普段を知る人は素通りしそうな感じだ。 「よ、よし、見なかった事にしよう」と踵を返してビュッフェバイキングに向かった。
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