第2話

3/13
前へ
/54ページ
次へ
「あなたはかなり指が細そうですが、中指は何号ですか?」 紳士が私の指先を見ておもむろに質問してくる。 「多分5号ぐらいです」 見て大体の予想を付けていたのか、サイズを言うと大きく頷かれたが、実際に指輪を探すのは困っている。 「やっぱり細いね、サイズないでしょ?家内も小指は一号で困ってました」 「私……ゼロ号も入りますよ」 なんで初対面でこんなカミングアウトをしてるのか分からないが、気持ちを分かってくれる人にポロッと本音が出てしまったのかもしれない。 「こりゃ珍しい、でも確かに小さくて細い指をされている」 ずっと二人で話していたつもりだったが、先程のハーフ顔の人も会話に参加してきた。 私の手を取り「本当に細くて小さいくて可愛い手ですね」と言われドキッとする。 「これこれ、気安く触れたらダメです。お嬢さんが困ってますよ」 苦笑いをくみ取ってくれた紳士が注意をしてくれたが、そのオジサマも「私も触らせて貰いたくなるので」と付け加える所がチャーミングな感じだ。 彼が来る頃なので我々は退散しましょうと席を離れて行ったが、私も中に入った方が見つけてもらいやすいとビュッフェコーナーまで戻る事にした。 ハーフ顔さんが、少し距離を保った位置からチラチラ見てくるのは気になったけど、桐谷さんがすぐに来てくれるから大丈夫と待つ事にした。 周りを見るとやはり皆さんはこういう場に慣れていてエレガントに見えるし、特に女性は見習えるところがあれば盗んで帰りたいと真剣に見てしまう。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加