第2話

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車内に入った途端「はあ、疲れた……気疲れしたぁ」と、桐谷さんが大きめな声をだすので調子が狂い驚いてしまう。 今日は初めての姿を色々見せて貰えたという事にしておこう。 微笑みながらお疲れ様でしたと伝えると「メイちゃんとの時間も邪魔されたし……」とこちらにチラッと視線をやり、正面に向き直っていた。 「初めて桐谷さんの仕事姿や関係者見ましたけど、なんか世界が違う気がしました、皆さんエレガントだし……」 「――また一緒に行って欲しいな、今度はもっと一緒に居れるようにするから」 パーティで食べ物を満喫していただけなのに、又来て欲しいと誘われて不思議だったがつい『美味しい物とかあるなら』と答えてしまい二人でプッと笑った。 車は私の家に向かう道から左折し、違う道へと進んでいる。 途中でコンビニに寄ると、桐谷さんがアメリカンドックを買い頬張っているので、本当はお腹空いてたんじゃないかなと思ったが口にはしないでおいた。 少し走ると山間の静かな道に入りそのまま進むと、大きな門の前で止まりって、リモコンかざすと自動で開いた。 入口から車で中に入ると茶色のレンガでできた道が少し続き、前方を見ると二階の四角い建物が見えた。 建物の前まで行くと車を適当な場所に止め「着いたよ」と言われ、周りを見ながらゆっくりと降りる事にした。 『ここ……何処?』 特に表札らしき物は見当たらないが、玄関っぽい場所の鍵を開けている。 「ああ、ここ俺ん家」 驚いた顔をしていると、腰の辺りを支えながら玄関に先に入らされたが、ここは自宅と職場を兼ねている場所らしい。 一階は広いリビングで大きなテレビやテーブルもあるが、ちょっとした打ち合わせができそうな感じで、カーテンが閉まっているのでよく見えないが外へも出れそうだ。 天井が高く開放的だし、色は白が多く使われていてリゾートな雰囲気もある。 奥はカウンターキッチンもあり、対面でバーカウンターのようなテーブルもあった。 冷蔵庫にコンビニで買った物を入れながら「そこら辺に座って」と声を掛けられる。 ここに一人で住んでるなんて世界が違いすぎる。 私なんて1DKのいたって普通のマンションだから、狭すぎて招待なんて無理そうだ。
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