第2話

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「す、凄い所に住んでるんですね」 「ここは元々父が使ってたのを改築しただけで、それまでは1Kのマンション暮らしだったよ。特に不便なかったし誰も呼ばないから」 そういう経験があるなら、ウチに呼んでも大丈夫かもとホッと胸を撫で下ろす。 「着替えたいし、シャワーにしない?メイちゃんは一階の使って。俺は二階のを使うから」 一度に済むなんて凄いと感心しながら一階のバスルームに案内されたが、今日は念の為のお泊りセットを用意していたので安心だ。 メークもしっかり落とせたし、シャワー後のボディクリームやヘアオイル等のいつもの手入れも出来る。 髪を乾かし部屋着に着替えると、自宅ではないがホッとするような気がする。 リビングに戻ると桐谷さんは先に先に済んたのか、テレビをつけて寛いでいた。 「シャワー有難うございました」 お礼を言ってソファに座るろ、桐谷さんも隣に腰を下ろしてきた。 「いい香りがする……」 私の肩の顔を置くとそっと腕を回して「やっと一緒にいれる」とボソッと呟いてる。 「あ、飲み物冷蔵庫にあるよ、シャワーしたから水分いるよね」 「いえ、自分で取りに行きますよ」と席を立った。 飲み物を口にすると、今日俺らしくなかったメイちゃんを口説いてるヤツに割り込んだり、いつもは冷静なのにとプチ反省会が始まる。 冷静というか冷酷な感じに見えましたけど……。 「ギュッてしていい?」 静かに頷くとソファにもたれながらくっついていた。 甘えたい感じなのか、急に可愛くなったり、仕事の時は目が怖かったり……まだ掴みどころがないという感じだ。 ――まあ、可愛いから全然構わないですけど。 「そろそろ横になろうか?」 手を繋いで二階のベッドルームに入った。 ダブルベッドに目を丸くし「ここで1人で寝てるんですか?」と聞いてみる。 「うん、ちょっとサイズ間違えたけど二人なら丁度いいね」 二人で横になってもゆったりしているし、多少寝相が悪くても心配はいらなそうだった。 ベッドサイドの小さな灯りだけがつけてあるが、自然とお互い引き寄せられるようにくっついていた。 唇を重ねると相変わらず気持ちのいい感触で、この時が一番喜びを感じる瞬間かもしれない。
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