第2話

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商品はゴールドやピンクゴールドが中心で、ピアスもチャームが色々変えれたりするので、シリーズで集めていくのも楽しい。 リングの前に来ると更に桐生さんの目が釘付けなので、見つめすぎですと耳打ちしておいた。 我に返った桐谷さんがニコッとしている。 そこには華奢なリングやゴールドの透かしの入っているボリュームのある物等が置かれていて、隣にはピンキーリングが並んでいる。 一つ一つのガラスケースをゆっくり観察していき、ネックレスも真剣にチェックしていく。 女性よりも男性の方が明らかにゆっくり見ているので、店員さんの視線を感じていた。 「あのディスプレイの二連のネックレスも可愛いね」 桐谷さんが指さす方を見ると、ハートのゴールドプレートの小さなチャームとダイヤのネックレスがセットで飾られている。 「ホントですね、チェーンの長さも短めでかわいい」と視線をやると時計も可愛いなという具合に歩き出している。 隣に行き覗いてみると、小さな文字盤の形違いが並べてあり、ベルトも変える事が出来るので自分でカスタマイズ出来て楽しそうだ。 チェーンタイプにすると、ちょっとしたブレスレットに見えて可愛いし、皮ベルトも何色かあり、チャームを変えただけでも雰囲気が違って見えそうだ。 目移りするのか新鮮なのか分からないけど、ジッとしていない桐谷さんにアタフタとついて行く。 暫くすると満足したのか「凄く良かった」と目をキラキラさせていた。 「雰囲気だと客に紛れて出れそうなんで、カフェにでも向かいませんか」と私からお茶に誘ったくらいだ。 「あの時計付けてみて欲しかったんだけど……」 と名残惜しそうに言われたが、アクセサリーから少し離れてきているし、当初の目的から変わってる気がしてため息が漏れる。 「ちょっとだけ……」 店員さんの方を向いた桐谷さんにすぐ気がつくと、お出ししてみましょうかとタイミングよく近づいてきた。 チェーンタイプのベルトと小さなアンティーク調の文字盤を出してもらうと、つけてみるのは勿論私だ。 「あ、いいねそれ」とジッと見つめる桐谷さんは、手首の裏側の留め金の部分やチェーンのつなぎ目等をチェックしている。 「手首が細い方でも調節できるようになってるのが人気で、アクセサリー感覚で付けていらっしゃる方も多いんです」と商品の説明をしてくれている。
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