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そろそろ頃合いかなと思い、ちょっと考えますと伝えて店を出ようとしたが「これお願いします」と被せ気味にいう桐谷さんに、目を丸くして驚いた。
二人並んで無言ででお店を出ると、桐谷さんの手には可愛くラッピングされた小さなショッパーが握られている。
「桐谷さん、あの、どういう事ですか……」
「うん、何か欲しくなってしまって」
「でも桐谷さんつけませんよね?」
確かに店員さんは印象良かったし、商品も可愛かったけど、リサーチをいうよりはハッキリいって衝動買いだと思う。
「はしゃいでるのかな俺、凄く買いたくなってつい」と、まだ目をキラキラさせていた。
「今度からはこういうの無しでお願いします、戸惑うし困惑するんで」
「気をつける。でもこれメイちゃんも好きでしょ?」
確かに好きだけど靴も買ってもらったばかりでだし、こんなに男性に何かを買って貰う経験もないので、変な汗がでそうな位落ち着かない。
近くのカフェでお茶をして車で送ってもらう際も、時計を付けてみてと言われ、手首にはめると彼は満足そうだった。
私がぎこちない笑顔だったのか「大丈夫身体で返してもらうし」とポツリと呟かれる。
「――えっ?」
動揺して肩が揺れると冗談だよと口角をあげ、やはり楽しそうだった。
家に着くと「きちんとスマホは確認するように」とダメ出しが入り、名残惜しそうに顔を見つめてからマンションの階段を上がる。
部屋に入ると早速お礼のメールを入れ、私からも何かプレゼント出来る物があればいいな……と考えながら眠りについた。
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