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第3話
次の日からはネックレスとブレスの他に、新しい時計を付けスタッフからも可愛いと好評だった。
プレゼントとかしないタイプの人だと思っていたのでかなり意外だった。
その日は遅番なので、早番のスタッフが帰ると店内は私一人になり、棚の掃除をしたり、小物のディスプレイを変えたりしていた。
目の前のメンズショップから視線を感じる気がして、さり気なく振り向くと桐谷さんで……以前とは違い今は彼氏だから動揺してしまう。
こっそり店内に入ってくると「ちょっと来てみた」と微笑んでいた。
「どうしたんですか?」
誰もいないのに思わず小声になり、手を口元に当てながら聞いてしまう。
「何となく見たくなって。あ、付けてくれてる」
首元や手首を見て嬉しそうな顔を見せてくれると、ドキッとしてしまい顔が熱くなった。
「あと少しで閉店なんで、レジ締めの準備してきますね」
「うん、待ってる」と店内を出て行った。
突然ドキドキし始める……。
本当に桐谷さんこういうタイプじゃない筈で、勝手な妄想で出来ていたイメージがどんどん壊れていく。
閉店を迎えレジ締めを済ませると駐車場に向かった。
「お疲れ様」
「突然だったので驚いてしまいました」と助手席に乗り込んだ。
「あのさ、気に入ってたりんごジュースがコンビニから消えたんだけど何処にあると思う?」
不意な質問で頭に「?」が浮かんだが、ここは食料品も扱ってるスーパーも敷地内にあるので提案してみた。
納得され二人で車を降りるとテナント街の入口は封鎖されるので、食料品の前の自動ドアから入店する。
食料品の部分は遅くまでやっているので、仕事帰りに買い物をして帰る従業員も沢山いて、私もたまにスイーツ等を買ったりしている。
まずは飲料コーナーでパックのジュースがありそうな所へ向かうが、かなり種類があるのでゆっくりみないと見過ごしそうだ。
「あ、あった――!」
発見した時の嬉しそうな顔が可愛すぎて見惚れていたが、カゴの中に十個ぐらい入れるのを見て、買いすぎじゃないですかと確認した。
「箱買いしておきたいぐらい」
もう一パック手にしていたが渋々戻していて、その姿もちょっと吹き出しそうだった。
近くには総菜やバイキングで計り売りの食べ物も充実しているが、ふと彼の足が止まったので目線を追うと、カレーの鍋とジャーが置いてあった。
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