第3話

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私が半分くらい食べた所でおかわりに席を立っていた。 「あの、無理しないでくださいね?寝る前ですし」 桐谷さんの方は少し多めに持った筈なのに大丈夫かと心配になる。 「うん、少な目にしとく」と普通に盛ってる気がした。 気に入ってもらえてのは嬉しいけど、私は一足先に「ごちそうさま」をして、食器を片づけに入る。 食べるのを見つめると「ちょっと照れる」と言いながら、相変わらず食べるペースは変わらなかった。 「アイスコーヒー冷蔵庫にあるよ?」 と言われ食後のコーヒーにする事にし、桐谷さんも食べ終わると満足そうな顔でコーヒーを持ってきた。 「美味しかったぁ、凄く満足!」 「お粗末さまでした」と笑顔が出てしまう。 簡単に作れる物なのに、こんなに喜んでもらえるなん申し訳ない位だ。 「そうだ、そろそろ敬語止めてくれない?」 「あ、私クセなんですよね、気をつけます」 「ほら、また敬語」 仕事が接客業なので初対面は勿論だが、基本の会話は敬語が当たり前になっているので急になくすのは難しい。 「あとは名前で呼んで欲しいな、俺拓斗だから」 『桐谷拓斗』って言い名前だなぁと心で思っていたが、いきなり呼び捨てもなんか照れくさい。 「じゃあ、たっくんとかどうですか?」 「好きに呼んでもらっていいよ、拓斗でもいいし」 「暫くは『たっくん』で慣れます」 と返すのが誠意パイだった。 「うん、また敬語だけどね……」 習慣というものは中々すぐには抜けないものだ。 「明日は早番?」 「いえ、遅番です」 「じゃあ、もう少しゆっくりしてから寝よっか」 引き続きアイスコーヒーを飲んでマッタリとした時間を過ごした。 二人でベッドに入り、くっついてキスをするだけで終わる筈もなく、やはりその先へも進んでしまうしまっていた。 次の日は朝から見送ってもらい、テンションもアガる一日のスタートだった。 この日を境にシフトが決まると桐谷さんに報告し、早番で次の日がお休みだと泊まりに行ったり、遅番でも来れる時は迎えに来てくれたりと仲がいい恋人になっていた。
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