第3話

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桐谷さん……いや、たっくんと呼ぶのが少し慣れてきたような気がする。 そろそろ付き合い始めて一ヵ月位経っていたが、たっくんは変わらず、逢う日は嬉しそうで。 何となく尻尾を振ってテンションが高いワンちゃんのように思え、私もその姿を見てるとギュッと抱きしめたくなるの繰り返しだった。 日にちが過ぎてきても、こんな気持ちでいれるのは初めてな気がする。 どうやら鈴も田口さんと上手くいっているみたいで、最近は会う回数が少し減りお互いスマホでのやり取りが多い。 田口さんは独立を考えているみたいで、鈴もネイリストの資格を持っているし、一緒にやらないかという話まで出ているようだ。 ――そんな時、鈴から連絡があった。 二人でよく買い物してたセレクトショップが今度コラボアクセサリーを限定で出すらしい。 会員は発売日前日に小さなパーティに参加し、ゆっくり見れるから一緒に行かないというお誘いで、私にもそのDMは届いている。 その日はお休みだけど、たっくんとの約束がまだ決まっていないので、とりあえず又連絡するねと返事をしておいた。 早速たっくんにその旨連絡入れてみると『いいよ、たまには鈴ちゃんと楽しんできて』と返信が来たので鈴にOKの返事をした。 その日は二人共少しお洒落をし、鈴は黒のワンピースでシックで大人っぽいし、赤のパンプスは差し色になっていて可愛い。 私は少し長めのレースのタイトスカートを選び、白っぽいベージュで纏め、トップスはネイビーにしてヘッドアクセをつけていた。
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