第3話

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「イケメンなのは認めるけど、全然可愛くない!」 ムキなってる気がしたので、まだ口の中に食べ物があるが、否定しておきたかったので強引に話してみる。 「わはひは……そうおもっへまふ……」 飲みこんで訂正しようとしたが『何言ってるか全然分かんない』とため息交じりに言われてしまう。 「私はそう思ってます……と伝えたくて」 アイスコーヒーで流してからもう一度伝えると、ワザワザ言い直ししてると結局プッと吹き出されてしまった。 「ふぅん……でも、メイちゃんもどこか変わってるよね?」 「普通だと自分では思ってるんですけど」 「そうかな……上手く言えないけど、前に手に触れた時にピンと来るモノがあったんだよね」 と言っているが、お腹を抱えて笑う姿を見ると、とてもそうだとは思えなあった。 気づけばホットサンドは全部なくなっていたので、顔を赤くしながらお礼を言っておく。 「あの、ご馳走様でした。そろそろ帰ります」 食べるだけ食べておいて自分でもいいのかなと思ったが、これ以上いても危険な気がしていた。 「えっ、もう帰るの?じゃあ今度ウチの展示会に遊びに来ない?」 と言われたが丁重にお断りし、ショッパーもその場に置いて立ち去った。 帰り道……無性にたっくんに逢いたくなったが、仕事中だったら悪いしと気を遣って肩を落としてバスに乗る。 窓からボーッと景色を見て気を紛らわす事にし、家に着くとすぐシャワーをして部屋着に着替えた。 ベッドの上で寝る訳でもないが、黙って天井を見つめていた。 寝返りを打ってウトウトと瞼が重くなり出した頃、メッセージの着信音が耳につき慌てて身体を起こす。 『いい物見つかった?』 待ちわびていた人からの連絡ですぐに返信をする。 こういう時に連絡が入るって何か嬉しいな……。 『仕事終わって近くにいるけど、ウチくる?』 と返事がくるとすぐに泊まる準備に入り、逢いたい気持ちが伝わったみたいで胸が弾むような気分だった。 着いたと連絡があって階段を降りると、見たかった顔が窓越しにニコッと笑っていた。 まだ時間が早いので今日は作って食べる事にし、リクエストを聞く。 「今日は暑いからアッサリした麺類とかいいな」 「じゃあ、冷麦でジャージャ―麺とかにする?」 ミンチが入っている物が好きだと分かってきたので提案してみた。
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