第4話

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第4話

「サラダも食べたい、メイちゃんのドレッシングだと幾らでも入るから」 嬉しそうで、気に入って貰えて良かったとつられるように笑顔を向けた。 スーパーに着くまで材料を頭で思い浮かべていたので、中に入ると早速カゴに必要な物を入れていった。 途中たっくんのリンゴジュースもあるかどうか確認したが、このスーパーにはなくて代わりのジュースを渋々入れていた。 買い物が終わり袋に詰めると彼が荷物を持ってくれる。 自宅に着くと私は料理に取り掛かり、たっくんは冷蔵庫に材料を入れてくれていた。 「そういえば、今日何も買わなかったみたいだけど、二人共収穫なしだったの?」 「ううん、鈴はお目当てのコラボ商品ゲットしたよ」 「へぇ、コラボ商品って?」 手を動かしながら楽しい会話……となる予定だったが、名前を出すとたっくんは気づいてしまいそうで少しドキッとしていた。 「シャルモとの限定コラボでアクセ三点セットだったよ」 「ゲッ、シャルモ?!まさかとは思うけどアイツいた?」 冷蔵庫に材料を入れ終え隣で野菜を洗っているが、やはりすぐに気づいてさすがだという部分と、嫌そうな声は引っかかる。 「うん居たよ、下見に来てた」 「売れてた?そんで口説かれたりしてない?」 「人多かったから人気だと思う。口説かれるというか、プレゼント貰ったけどきちんとお返ししてきたよ」 変な誤解を招くのも嫌なので、包み隠さず話しておいた。 「そっか、アイツあの時もしつこかったからなぁ。でも教えてくれて有難う」 ニッコリと笑った直後に『でもちょっとアイツムカつく』と頬を膨らませる様子を見て笑い出してしまう。 「えっ、何で笑うの――っ?」 「だってたっくんの方がモテるのに、私なんかにそんな事言うからつい」 カウンター側に移動したたっくんは真剣な顔で私を見つめながら、自覚はないもしれないが心配しているという事を暫くの間力説されてしまった。 「有難うございます、でも本当に大丈夫だから。今日はたっくんに逢いたいと思ってたから顔見れて嬉しかった」 と思わず本音が出てしまうと、たっくんは顔を赤くしながら面と向かってサラリと言われてもと照れながら視線を逸らされた。 笑ったり怒った顔したり照れてみたり……そんな表情を見せてくれる彼が愛おしくて仕方なかった。
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