第4話

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その後少し見つめる形になり、誤魔化すように料理の続きをしていると、カウンター越しから彼がキスをしてきた。 「――えっ」 思わず顔が赤くなると「そんな顔してると襲っちゃうよ」とまた違う顔でこちらを見てくる。 ――本当にこのイケメンにはドキドキさせられて心臓に悪い。 「たっくん、ひ、冷麦茹でるの手伝ってくれる?」 隠すのに必死で空気を変えようと頑張ったが、フフッと余裕の笑みを見せながら手伝ってくれた。 一緒に料理するのも楽しいけど、きっと彼の事を考えながら作るのもワクワクするんだろうなとつい想像してしまった。 『半年で別れる……』の予言が外れてたらいいのに。 出来ればもっと一緒にいれたらと、淡い期待を抱きながら手を動かしていた。 大人になってからは以前と違い『ずっと一緒にいようの約束』は、突然破られる日が来るのも知っている。 逆に急に冷めてしまう事もあり、恋愛に対してのフットワークはかなり重くなる。 たまに目の保養が出来たらラッキーと思う位で、彼氏が欲しいとも思ってなかった。 多分歳を重ねる度に、素直に相手を信じる事が出来なくなり、自分をさらけ出せず我慢して……臆病になってるのだと思う。 でも今回はそうだったとしても、少しでも一緒に居れたらいいと密かに考えてる時点で、何かが違うと気づかされていた。
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