第4話

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「実は今までにない感情を楽しんで受け入れるようにしてて。メイちゃんは引くかもしれないけど、たまに言葉にして伝えてみようと思って」 「引くどころか凄く嬉しい。だから一人で悩まず言える事は伝えてもらいたいな」 こんな話をし合ったりする彼氏も今まではいなかった。 彼が素直に言ってくれるから自然に話が出来るのかもしれないが、大切に思われている以上の何かを貰っているみたいで和らいだ気持ちになる。 明日は早番と言う事もありお互いにシャワーをすることにした。 いつものように髪を洗い一つに束ねた時、コンコンとバスルームのドアをノックする音が聞こえた。 「わ、わっ……」 慌てて隠す物はないかとオロオロと探していると「身体はもう洗った?」とドア越しに彼が聞いてきた。 「いや、まだだよ」 タオルを持って入ってないので、椅子に座って胸元を手で隠しながら答えた。 「じゃあ洗ってもいい?」 「へえっ?!」 驚いているとタオルを巻き、髪と身体が少しだけ濡れた状態のたっくんが入ってきたので呆気に取れてしまう。 「シャワーしてたら、メイちゃんの背中流してあげようと思いついて」 と普通に言うのでついプッと吹き出してしまった。 「たっくん身体と髪濡れたままだけど大丈夫?」 彼も椅子をよせて座り、ボディソープを手に取ると、背中を優しく擦ってくれている。 「うん、大丈夫……」 ちょっと俯きながら身体を洗ってくれているが、腕や足に下がっていき私の足を彼の太ももに置くと、足の指まで洗おうとしたのでさすがに遠慮した。 「いいじゃん、彼女の身体初めて洗った記念」 と二カッと笑っているので『どんな記念日だ』と思いながら、私もポンプを押して手の中で泡立てると彼の胸元を包んでみた。
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