第4話

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髪のセットが楽だったので時間が大幅に減り、薄手のジャケットを羽織って出かける事にした。 スマホを見ると『受付で俺の名前出して。後で逢おうね』入っていた。 バスの中で黒の小さなパーティバッグを開け、忘れ物がないかチェックすると同時に靴も見ておく。 黒のパンプスはスパンコールが華やかさを出しているし、髪はあえてアップにせず自然な感じに下ろしている。 たっくんがどう思ってくれるかドキドキするが、恐らく子供っぽくなりすぎてはない筈。 そして濃いリップでバランス取ってるしと、あれこれ考えてるウチに降りるバス停に着いていた。 バスから降りて時計を確認するとまだ一五分前で、目の前にホテルは見えているので、近くのカフェに入る事にした。 そういえば今日はほぼ何も食べていないので、どんな料理がワクワクしトイレでお化粧を直してホテルへとゆっくり歩いた。 受付でたっくんの名前を出すと七階に案内されたが、他にもイベントをしている様なので入り口まで連れて行かれて助かった。 一人だったら間違って他の会場に入っていたかもしれない。 ジャケットを脱いで受付に預けるとゆっくりと中へ入って行く。 とても広い空間に展示スペースも併設され贅沢に使ってあり、立食できる所は何箇所かあるので心もお腹も弾むように足取りが軽くなる。 所々に展示品はあるが、一般の人が買えそうな石の大きさではない代わりに吸い込まれるような美しさだ。 こんな機会はないので後でゆっくり閲覧しようとは思うが、まずはせっかくなので腹ごしらえをしたい。 どれも美味しくておかわりしたかったが周りに合わせて我慢し、次の立食スペースに移動してまた違う種類を食べる事にする。 この辺りで一度メイク直しておこうとトイレに向かい、今度は展示スペースに行ってみる事にした。 そこは綺麗なデザインのジュエリーが多数展示されていて、なるべく邪魔をしないように、空いている場所からこっそり見ていった。 ダイヤにルビーにエメラルドの他にも、サファイヤにパールやブラックオパール等……沢山の種類の石もあり興味深々だ。 石の輝きやテリを一番引き立てる事が出来ているのも、やはりプロの仕事だなと見惚れてしまう。 ずっと見ていたいが一旦休憩にしようと、ドリンクコーナーに近づくとこちらをジッと見ながら歩いてくる男性がいた。
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