第4話

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もっと奥にはエメラルドも同じように石だけカットされて展示してある。 今からデザインしますという宣伝なのかは不明だが、私は石が好きなので見ているだけで落ち着いてくる。 最後にはパール。 中でもコンクパールという綺麗なピンクのパールは、実物を初めて見れたのでラッキーだった。 テンションがアガりもう一周したいくらいだが、何度も見る人いるのかなと様子を伺いつつダイヤの場所に戻る。 冷静になって二度目に見たダイヤは、綺麗だけど何処となく違和感があった。 『あ……綺麗だけど、これ合成ダイヤかも』 確かにこんな大きな石を気軽に飾っておくのは防犯面でも危険だし、一瞬とは言え騙された自分も恥ずかしくなってくる。 「綺麗だけどお気に召さない?」 後ろから声が聞こえたが、振り返らなくても渡部さんだと分かる。 「い、いえ、とても綺麗です」 「本物見てみたい?」 と聞かれ思わずクルッと振り向いた。 「見れるんですか?」 「隣の部屋で見れるよ、おいで」 手を引かれて隣の部屋に入ると中には業者っぽい人達が数名いて、テーブルで石を並べて説明をしたり、打ち合わせをしたりピリッとした空気。 当然ながら踏み入れてはいけないエリアだと分かったが、離れた机の前で座るように言われると渡部さんはバッグの中から何か取り出していた。 机の上に黒い布を置くとダイヤを四つ並べている。 「どの石が好き?」 突然言われても、どれも綺麗なダイヤにしか見えないが椅子に座ってゆっくりと見つめていると、クイズみたいでチャレンジ精神が擽られる。 「こう見ると、どれも綺麗に見えて迷いますね」 「じゃあ、これ使ってみる?」 ルーペとピンセットを渡してくれて、持ち方見方の説明を簡単にしてくれた。 こんな経験した事ないので少しワクワクしてしまい、興奮を押さえつつ一つ目のダイヤを挟んみ、右手のルーペで覗いてみる事にした。
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