第4話

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すると後ろから柔らかいトーンの声と共にお題が出される。 「貴女は今から四人の女性のシャワーを穴から覗き見します。その中の一人は二十代。しかし四人ともそれぞれ魅力のある身体の持ち主です。貴女はどの身体が好みですか、さぁ覗いて感想を言ってみよう」 「…………」 『例え話が犯罪なんですけど』 そっと石を元の場所に戻すと、渡部さんが変な事言わないで下さいと注意している。 振り向くと愉快そうに笑いながら、たっくんのお父さん……いや、ノブちゃんが背後に立っていた。 「分かりやすい例えで良くないですか?」 「あの、私女性なんですけど」 「まあまあ、お遊びなんで覗いてみましょう」 気を取り直してもう一度挑戦してみると、ルーペ越しだとパッと見で分からなかった物が色々見えてくる。 内包物っぽい物が見えたり、逆に綺麗な物は驚く程白い輝きを放っている。 私はゆっくりと四つを見比べて「この人が良かったです」と指差した。 「なんで、なんで?」とノブちゃんが子供のように目を輝かせて聞いてくる。 「この人のお肌はピチピチでシャワーを弾いてるようでした。湯気で邪魔される事なくバッチリ見えましたし、お顔もとても綺麗だったので覗き甲斐がある気がしました」 私は上手く言えたつもりだったが、渡部さんはちょっと呆れた顔をしている。 「変な事言うから、メイちゃんの例えもこんな感じになってしまってますよ」 私は楽しい経験が出来たし、ノブちゃんのおかげで安心出来てむしろリラックスしていた。
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