第4話

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「この子だよ、食べっぷりのいいお気に入りの子」 初対面なのに食いしん坊キャラで紹介され、顔の温度がどんどん上昇してくる。 「ちょ、変な紹介の仕方しないで下さい!」 「凄く可愛くてお綺麗な方ですね」 渡部さんとは正反対の物静かな感じの男性で、言葉使いも丁寧だし所作も優雅なので和服が似合いそうな印象だ。 「と、とんでもないです。佐々木と申します」 「篠原と申します」 目は少し鋭いが嫌な感じではなく、ハッキリとした二重と長いまつげが緩和してる気がする。 「メイちゃんもう食べ残した物はないの?」 「はい、一通り制覇したので満足です」 と答えると篠原さんは少し驚いた目をしてから、口角を上げてククッと笑っている。 「ダメだよ、俺のお気に入りに興味持ったら」 「良かったら今から飲みにでも行きませんか?」 と渡部さんを無視して私に聞いてきたが、その辺は似たもの同士というかフランクに誘ってくる人達のようだ。 「すみません、連れを待っていて……あとお酒飲めないんです」 「へぇ、ワインとかお飲みになるのかと思いました」 断っても話を続けてくる辺りも渡部さんと被り、苦笑いで誤魔化していた。 「ちょっと、俺は無視?」 イケメン二人にも囲まれていると周りから視線を感じるが、実は何かで有名な人かもしれないしそろそろ逃げたい。 「しかもこの子のお連れ桐谷なんだよ」 渡部さんの一言に信じられないといった表情になり、その辺りで構いませんのでお話ししましょうと手を引かれてしまった。 「あの、ちょっと困ります!」
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