少尉候補生団

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「国防軍少尉候補生主任生徒だ。入館を希望する」  そう告げたが男は首を傾げて英語で何者かを誰何する。日本語が不明なのに気付いて夕凪が英語で話し掛ける。 「少尉候補生星川。国防軍司令部へ入館を求める」 「イエスマム、候補生殿、どうぞ」  胸を張って敬礼しドアを開けた。少し意外な感じがしたが三人で中へ入る。ロビーにもちらほら黒の軍服の奴等が居た、数は少ないが黄土色の軍服もだ。 「黒が義勇軍クァトロで、黄土色が国防軍ですね」  いつものように百合香が補足してくれる。黄土色の奴が寄ってきた。 「お嬢ちゃん達、どうしたんだい?」  複雑な記章だ。エスコーラには存在していないのですぐには階級が解らなかった。 「佐々木さん、上級曹長ですよ」 「そうか。佐々木少尉候補生主任生徒だ、司令部の視察に来た」 「少尉候補生? あー、学校の」  物珍しそうに三人をなめる様に見る。敵意も悪意もないが無礼ではある。 「俺、田中上級曹長ってんだ、なあ一緒にお茶でも行かないか?」 「おい田中、何一人で可愛い子誘ってるんだよ!」image=494865613.jpg
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