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国防軍移動学校エスコーラ。エスコーラ自体が学校を指しているので重複しているが、馴染みがないポルトガル語なので違和感は殆んど無い。
一般学校とは違い士官候補のみを選抜している。成績から選りすぐるだけでなく、どこに気持ちが向いているか、それを重要視した。
「二百人位かしら」
険しい目付きをした女が大体の数を読む。海のものとも山のものともわからない、国防軍の移動学校に大事な娘を差し出す親は少ない。
「騒ぐな、校長が来る」
廃校になっていた高校の跡地に整列している。
担任だと名乗った女性は黒い軍服を身に纏い、日本語を喋りはしたが日本人ではないように見えた。
テレビで目にした四ツ星の軍旗がグラウンドにはためいていた。
演台にラフな格好をして、肩から黒いコートの上着をかけた女が登った。これまた褐色の肌で明らかに日本人ではない。
「お前達が栄えある一期生だ、前例なんて何一つない」
名乗りもせずに突然喋り始めて皆を一人ずつ睨んで行く。まるで肉食獣にでも狙われているような寒気を感じた。
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