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口ごもる悠子を見て珍しいなと夕凪が視線を逸らす。別にすぐにどうこう答えを聞きたいわけではない、雑談の一つだ。
「あ、書き込み見つけました。義勇軍の将校が出てきたみたいですね」
式典会場付近の住民が書いた内容を読み上げる、不思議なことに難しい顔をした男達ばかりだったらしい。
「クァトロの者はどうなのだ」
「はい、えーと……変ですね、黒服の人は居ないみたいですよ?」
全部を見ているわけではないので何とも言えないが、胸騒ぎを覚えた。
――なんだこの変な感じは。
すっと立ち上がると歩き出してドアノブに手をかける。
「どこへ行くつもりかしら」
「式典会場だ」
「そう、じゃあ私も一緒に行くわ」
夕凪が待機を破ることを咎めもせずに当たり前の顔で同道を申し出る、悠子もすぐに承諾した。
「あ、私も行きます。着替えなくていいですか?」
「そのままで構わん、行くぞ」
セーラー服に階級章、何かのアクセサリーに見えてしまう。ホテルを出る三人を見かけた候補生も特に何も言わずに見送る。
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