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丁度レジから通りが見えるので、目に入ったのだろう。不自然な素振りは無い。
「黒服の者はそれに混ざって居らんかったか」
「どうかな、黒は居なかったよ。黄土色の国防軍も見なかったな?」
――すると外部の者だけを先に帰したわけか。
義勇軍は緑や迷彩パターンが殆どで、見間違えることは少ないはずだ。ましてや天気の良い昼間、それではっきりとした色をだ。
「まだ式典終わっていないんでしょうか?」
百合香が首を捻る、答えを知る為には義勇軍の誰かに聞けば簡単に解る。かといって個人的な連絡先を知っている者など居ない。
「綾小路、義勇軍の駐屯地はどこだ」
「多分横須賀に間借り中だと思いますよ?」
「行くぞ」
横須賀海軍基地、米軍のベースだ。門衛に止められるが「国防軍佐々木中尉だ」告げると通された。視線が集中する、気に掛けずに中央の幕へと向った。将校が軍議中だと言われるが悠子は中へと乗り込む。
「君らは!」
「クァトロ・エスコーラのユーコ中尉です。何があったかを聞きに参りました」
ハラウィ准将が立ち上がり悠子の前にやって来る。
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