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「それを握りしめて、憎い相手の名前を、4回呟きなさい」
この人は何を言っているのだろう。私は呆然としながら、電車に揺られていた。
「それでは、ご健闘を祈りますよ」
私はその言葉に、はっとしておじさんに何か言おうとした。
だが瞬間、強い風が吹き付け、私の視界を奪った後、おそるおそる目を開いてみるとそこには誰もいなかった。いや、それよりも先ほどの人気のなさが嘘のように、電車の中は人であふれかえっていた。
あれは幻想なのだろうか。
そう思い手元に目線を落としてみると、私は声をあげそうになった。そこには元から私が持っていたように、丸く薄いネックレスがあったのだ。
私は唖然としながら、家への最寄り駅のアナウンスで我に返り、そっと立ち上がったのだった。
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