ネックレス

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 __ガチャッ……ギィッ。  私の、私の、部屋だ。私の部屋に入って来たのだ。このまま、何もありませんように。無信仰のくせして私は目を瞑り、手を握り、ただひたすらに全てが無事に終わることを祈った。  恐怖にも、何にも勝てた。だが、それは幻想だった。それはネックレスがあったら、という前置きがついているのだ。私はようやく自分が、優越感によって隠れた感情を取り戻したことに気付いた。  部屋を歩き回る音がする。何を、何を探しているのだろう。もしかすると、ネックレス? いや、それは今、ベッドにある。慌てふためいて、クローゼットに隠れる際に投げ捨てたのだ。  じゃあ、何が目的だというのだろう? 自分の心臓の音がいつもよりうるさく聞こえる。閉じていた目を開けて私はおそるおそる、クローゼットの隙間から侵入者を見ようとした。  誰だろう? 制服姿のようだが、視力が悪いせいでぼんやりとしたシルエットしか分からない。  不意に、その人物が私の視界から消えた。  出て行ったのだ。  ドアが閉まっていないにせよ、気まぐれで出て行ったのだ。私はそう思い、そっと固まっていた体制を直した。なにせ、狭いところで体育座りをしていると、手足が痛くなる。  暗く狭いクローゼットにまばゆい光が差し込んだ。私は反射的に目を細め、その人物を見た。やはり、シルエットしか分からない。  だんだんと目が慣れ、私はその人物の姿をはっきり見た。
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