第1章

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そう言った俺に無理やりキャンディーを口に入れられる。 「ぶっ、ば、ばかやろ!」 数人に怒鳴り声を上げるがまるで聞こえていないかのような表情で俺を見る。 「な、なんの冗談だよ!おい!」 俺が話しても全然聞こえてない素振りだ。 「なに口パクしてんだよ。」 「声出さないと声、声!」 みんなそれぞれ声が変わったが俺だけ声が消えた。 どうすればいいんだ!? 無意識のうちに例のキャンディーを持って教室を飛び出していた。 そして向かった先は俺が学校に登校してた時にあの博士みたいな人がこのキャンディーを落として行った場所に来ていた。 するとそこに白衣を着た博士っぽい人がいるではないか。 「あ、あのー」 その博士の肩をトントンと叩くと 「誰じゃ!?」 とくわっとした険しい顔つきで俺を見る。 「おっ!」 博士は俺が手に握っているキャンディーに気づく。 「ありがとー。君が拾ってくれていたんじゃない。」 顔を縦にコクコクと頷いで自分の声が出ないことをジェスチャーで教えると 「このキャンディーを舐めたんじゃな。そしたらまた舐めてみるが良い。」 博士っぽい人の言う通り、キャンディーを舐める。 「声を出してみるんじゃ!」 「えーと聞こえますかね?」 「うむ。成功じゃ!」 声が戻った俺は豪快にガッツポーズをする。 博士っぽい人は俺からキャンディーを受け取るとそのキャンディーを舐めて確証する。 「うむ。」 「あれ声が変わっていない。」 「そうじゃよ。これは人それぞれ、どんな変化をするか予想ができないんじゃ。わしのように声が変わらないこともあるんじゃ。」 「すごい!」 「このキャンディーは普通にキャンディーではなくてな。キャワレルキャンディーとワシは命名しているんじゃ。いずれ何処の店でも販売する予定じゃ。まだ試作段階じゃから本当は舐めてはいけないんじゃがな(笑)」 そう言って、博士っぽい人は帰って行った。 後日、他の数人の友達は博士に俺がキャンディーを返したのもあり声を元に戻すことができずにそのキャワレルキャンディーが発売される日を心待ちにすることになった。 やっぱり見知らぬ人が落として行った物には簡単には触れてはいけないと思った。 ちゃんちゃん? 終わり。
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