魔法の電子レンジ

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★ワンプッシュで簡単に出来ちゃう!魔法のレンジちゃん★ 使い方は簡単。作りたいものの材料と作り方を記載したメモ、 なければ完成時の写真やイラストでもOK!それを電子レンジの中に入れてね♪ 後は作成ボタンを押して完成を待つだけ! ※一度ボタンを押すと、取り消しできないので注意してね♪ ずいぶんと砕けた書き方をした説明書だ。 でも確かによく見ると普通の電子レンジとは異なり、ボタンは「作成ボタン」のみで時間を調整するようなボタンも無い。 いたずらかと思ったが、もしかしたら私が知らないだけでこれが今の最新型なのかもしれない。 とりあえず一度だけ試してみようと私は近くのスーパーで卵や米などの食品や調味料、料理本を買い込んだ。 部屋に戻ると、早速目分量で測った材料と料理本から切り取った料理の写真を電子レンジに入れた。 入れた材料はお米、卵、鶏肉、玉ねぎ、ケチャップなど。 蓋を閉めて作成ボタンを押す。 すると電子レンジ特有の機械音が鳴り、中の材料たちが回り出す。 その状態が数秒続くと内部が白い煙に覆われ見えなくなった。 「え、故障?」 私は慌てて説明書を読み返す。 ※ボタンを押して数秒後に白い煙が出ますが、故障ではありません♪ 中の構造は企業秘密でお見せできないので隠すために出してます\(^o^)/ ※電子レンジが停止する前に蓋を開けちゃダメだよ♪ この砕けた口調の説明書になれないが、どうやら故障ではないらしい。 内部が白い煙に覆われてから5分後、チーンという音が鳴る。 蓋を開けると同時に白い煙が外に流れ出した。 煙がおさまったころ、中を確認すると半月型のオムライスが出来ていた。 それは私が切り取った料理本の写真通りのオムライスだった。 電子レンジから取り出し、恐る恐る口にしてみると味も申し分が無く美味しかった。 「本当に出来るんだ」 この不思議な電子レンジのおかげで、上京時に抱えていた不安はいつしか消え去っていった。 様々な料理を堪能していた日々の中で、この電子レンジにはまだまだ作れるものがあるのではないかという好奇心が生まれた。 それを試すために私は赤とピンクの毛糸と完成時の写真を入れてみた。 すると写真通りのボーダー柄のマフラーが出来上がったのだ。 どうやら食べ物以外も作れるらしい。 私はますますこの電子レンジの魅力に取りつかれていった。
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