君と奇跡の腕時計

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僕は、医療器具メーカーで、病院などに注文があった製品を納品したり、新製品の案内をするルート営業をしている。 今から7年前、当時の僕の担当商材は鍼だった。 その日は、週に1度必ず鍼の納品に伺う鍼灸院に来ていた。こじんまりしているが、県外からやって来るリピーターさんがいる鍼灸院だ。 「日向さん、一昨日から新しい先生が仲間入りしたんですよ。ご紹介したいから少し待ってて頂けます?」 院長先生の真後ろを歩いてきたのは、白衣を着ていたけれど、すっぴんで小柄、高校生くらいに見える女の子。 彼女は院長先生の白衣の裾を掴んでいて、おや?と思った。
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