君と奇跡の腕時計

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…せいがんしゃ? 初めて聞く言葉だった。調べてみたら、目が見えないひとの対義語で、いわゆる健常な視覚を持つ人間を指す言葉だった。 その次の週、鍼を納品しに行くと、仁美が手が空いているからと受け取りに出て来てくれた。 ちゃんと僕のことを覚えていて、「こんにちは」の一声だけで「日向さん、納品ありがとうございます」と言われた。 でも、喋っていて前回のような元気がないなと思い、鍼灸院の外、人目に付きづらい場所に連れ出した。
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