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ガラガラガラガラ
ガラガラガラガラ
ガラガラガラガラ
コツン
ん?紫色?ハズレか?
「大当たり!」
男の人は、鐘をならしながら笑顔でしゃべり、女の人は、笑顔で拍手をした。
「商品はこちらの玉手箱です。」
男が出したのは、きれいなアジサイが金色で描かれている黒塗りの小さな玉手箱だった。
まるで浦島太郎であったような玉手箱。
玉手箱には赤い紐蝶々結びでついている。
「こちらですが数万円の価値があるものですので大切にしください。」
「へぇ~中になんか入ってるですか?」
「それは、私達はわかりません。ですがこれを作った人からこれだけは伝えてくれと言われてまして。」
「なんですか?」
「人生に困った時に開けてください。とのことでした。」
「そうですか。わかりました。」
とりあえず私はその玉手箱をもらい家に帰ることにした。
商店街を出て少し歩いたところに信号のある大きな交差点がある。
そこを越えてすぐのところに私が住むマンションがある。
そこの交差点に向かう途中前方の遠くほうからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
「前の車止まりなさい!」
違反車両を追っているようだった。
車はどんどん近づいてくる。
私は、その交差点に差し掛かかったとき信号が点滅していたので止まることにした。
次の瞬間その違反車両が左折し、猛スピードで目の前を通りすぎていった。
私は、ひやりとした。
危うくもう少しで引かれるとこだったのだ。
家に着くと私は、疲れていたのでさっさとご飯やお風呂を済ませ夜勤に備え床についた。
3日ぐらいたったあと私は、妙に玉手箱の中身が気になった。
ここ3日間玉手箱は放置していて、気にもしていなかったが、ふとあの男の人が言った言葉を思い出したのだ。
『人生に困ったときに開けてください』
人は開けるなとか見るなと言われると開けたくなるし見たくなる。
あの言葉どうせおまじないやそんな感じだろ。
そんなことを思い私は、ためらいもせず紐をほどきふたを開けた。
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