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「お客さん?大丈夫?」
ん?あれ?
目の前にはあの福引きの男の人がいたのだ。
私は、福引き券を手に持ち商店街の福引きのテントの前にいた。
「すみません。今日何日ですか?」
「○日ですけど。」
私は、3日前に戻ってきたらしい。
あの箱は、人生をやり直すことができる玉手箱だったのか。
とりあえず福引きを引いてみるか。
ガラガラガラガラ
ガラガラガラガラ
コツン
白
結果はハズレだった。
当たるわけないか。
ハズレのポケットティッシュをもらい家に帰ることにした。
私は大きな交差点に差し掛かった。
そういえばここら辺でパトカーのサイレンが聞こえてくるはず。
だが聞こえない。
福引きも外れたし、同じことが起きるわけないか。
私は、歩道を渡りだした。
ちょうど半分ぐらい渡ったところで信号が点滅したのでちょっと小走りで走った。
「危ない!」
誰かが叫んだ。
「えっ?」
私は、横を見た。
車が猛スピードで左折して私に向かってきていた。
この時私はスローモーションに見えて、いろんな事が頭の中をよぎる。
この車あの時見た違反者の車と一緒じゃないか。
しぬ。
あの玉手箱の本当の意味はなんだったのか。
『人生に困ったら開けてください』
人生をやり直したくなったら開けなさい。
ではない。
それは、
人生を終わらせたいなら開けなさい。
だった。
だが裏を返すとあの玉手箱は私を守ってくれた。
あの福引きで玉手箱が当あり時間がずれたから私は、あの時死なずにすんだのだから。
ありがとう。
そして
ごめんなさい。
彼の死後家族が自宅に入るとテーブルにはふたの開いた玉手箱があった。
その中にはポケットティッシュと何か書いてあるメモ用紙が入っていた。
○月○日 ○時○分 事故死
君を守れなくて残念だ。
END
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