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高広の家は、高広が暇にあかせてつくったセキュリティシステムが完備してある。
大型重火器でも使って、ドアごとふっ飛ばせば話は別だが、ガラス割りや施錠開け程度の泥棒では、入りこめる隙はない。
ついでに無理やり侵入を果たそうとすれば、それなりの報復が仕掛けてある――。
どこまでわかっているのかは知らないが、女泥棒は、
「この子、ちょっと狙われてるのよ」
と言った。
「あんた、脇腹に怪我してるよな」
「気づいてたのね。目ざとい子」
やっぱり子ども扱いする女にはムカつくが、結構な出血をしていることは、女の濃い化粧の上からでも気がついていた。
それを平静に隠し続ける根性には、感心する。
だが高広の目は誤魔化せない。
ドアを開けた時から、気がついていた。
「あたしは自分の身くらい守れるけど、この子は無理。でも高広くん家なら安心でしょ」
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