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「女の扱いに、慣れているのね」
『銀の猫』が、しゃべったのかと思った。
もちろんそんなわけはなく、振り返れば、
「セクシーな指だわ」
女がひとり立っている。
体のラインを際立たせる黒いライダースーツ。
背中にはディバック。
非常灯の灯りしかない暗い収蔵庫の中。
湧き出たように、そこに姿を現した。
「――あんた、誰だ?」
高広は警備員の使命を一気に思い出す。
この状況で、気配もなく灯りもなく、こんな場所まで忍びこんでくる者と言えば、
「泥棒よ」
女はそう自己紹介して、
「ふふっ」
色っぽく笑う。
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