大魔王様の奮闘記～男はつらいよ～

襲撃者

数百年にも及んだ人間と魔族の戦争、そして闇の一族騒動の終結は、世界にようやくの平和をもたらした。

そこに生じた人間界、魔界、という境は消え、両者は共存の道を歩んでいた。

壊滅状態であったゲインガーナ王国、魔王城、そして各ダンジョンの復興は、互いがそれぞれ協力し合い、順調に進んでいた。

そんな折の某日。修繕が完了したゲインガーナ城の大食堂に、人間界、そして魔界の主要人物が集っていた。

この日は騒動の終結からちょうど５年の時が刻まれた記念日であり、ここにその式典が開かれようとしているのである。

厳かな雰囲気に包まれる中、机に足を乗せていびきをかく男と、隠しもせずスマホゲームに興じる男が。

ﾗｲﾅﾙﾄﾞ「ぐご～」

ﾙｼﾌｧｰ「……ちっ、またガチャ回すか」

勇者ライナルドと、大魔王の息子ルシファーである。