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ルシファ-「アンタ俺の事は知ってるっぽいから自己紹介は省くけど……ところで詐欺師の人、ここがどこか知ってんの?」
シディス「やめろ! 教えてやるから黙ってろ貴様!」
とうとう観念したのか、交換条件を提示してくるシディス。
黙るのは得意中の得意なので受け入れる。
シディスは一度溜め息を吐いた後、何から話すかと思案し始めた。そして数秒後にハッと顔を上げる。
シディス「ーーそうだ貴様、ここに来た時点で、もう粗方わかっているのではないのか? 私がいちいち案内してやる必要もあるまい」
ルシファ-「……む」
確かに、何故か最初から知っていたかのように、この『冥界』についてのある程度の知識が俺の中にある。
薄々感じてはいたが、これが気のせいでないとなると気持ち悪い。この変な記憶に容量割いたせいで、アニメとかの知識が減らされていないかも重要な問題だ。
何よりどういう仕組みと意図でこんな事してんだ。
俺の疑問を察してか、シディスは話を続ける。
シディス「1日に何人の死者がこの冥界に送られてくると思っている。
この冥界はハーデス、エレシュキガル、アヌビス、閻魔をはじめとした死神達が管理していたが、“今は”連中だけでは到底面倒を見きれる状況ではない。だからと言って放置してしまえば、死んだ直後の魂は恐怖や混乱で冥界と現世の狭間を彷徨い、悪霊と化す恐れもある。
よって急遽、ハーデス達は意思も持たぬような下級の死神や使い魔共に記憶と情報を分け、それを堕ちてきた者に自動で無理矢理与える急造の機構を作ったのだ」
シディスは「今は」という言葉を心なしか強調して説明する。
そんな事をされたら食いつくしかないだろ。クマー。
ルシファ-「今ここで何かやってんの? 祭?」
シディス「違うわ莫迦め。……貴様も感じているはずだ、この冥界を濁り淀ませる、死者の無念や怨恨とも違う只ならぬ闇を」
周りに目線を遣るシディス。
ここに来た直後に感じた禍々しい気配の事だろうか。これもどこかで経験した気がすんだけどな~……
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