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指の力を抜いた瞬間、今度は逆に力強く握り返された。
「えっ…………?」
思わず繋ぎ止められた手をじっと見つめる。
これは…?
「悪い…。名残惜しいのは俺の方だ。まだ時間あるか?」
もしかして、また公園に誘ってくれるのかな?
だけど今日はなるべく早く帰るようにって母に言われていた。
どうしてなのか理由は最後まで教えてくれなかったけど。
「すみません。今日は早めに帰るように言われてるんです。シフトは入ってないんですけど」
「そうなのか…。じゃ最後にちょっとだけ、目を閉じて」
え!!
ま、まさか?
急速に高鳴る鼓動………。
繋いだ手から伝わってしまいそうで、なお一層ドキドキが加速する。
「は、はい……」
私ったら、いつから佐伯主任に対してこんなに従順になったんだろう?
本当に調子狂ってる、私。
目を閉じると私の心はリミッターが振り切ったように制御不能となる。
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