6人が本棚に入れています
本棚に追加
相手に合わせていつもより足取りを遅くした。ゆっくりゆっくり、周りを見ながら先へと進む。
あの枝の張り出しは、角度によっては何かいるように見えるなぁ、とか、不意打ちで小鳥が動き回るのも、小っちゃい子には怖いかも、とか、あれこれ考えている間に壁に挟まれた空間から抜け出した。
優しいお兄ちゃんの役目はここまで。
怖くなかったかな? じゃあバイバイ…と振り返ったそこに女の子はいなかった。
道が薄暗くても黄色い帽子は目立つから、途中で立ち竦んでたりしてたらすぐ判る。いいやそもそも辻に出るまで、確かに袖を引く感触があった。
えーっと、これはつまり、…あの子がここに出るおばけだったっことでいいのかな? それとも、あの子とは別のおばけがいて、そっちが出るからあの子はこの道を怖がってたってことか?
はたして真相はどっちなんだろう。それを知りたい気持ちはなくもないが、一番の本心は、『どっちであっても構わないから、もう関わりたくない』だな。
その心理に則って、とりあえず一つだけ。
もう、この道近辺は何があっても通らない。以上。
おばけの出る道…完
最初のコメントを投稿しよう!