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“MARATHON TOUR”in 新潟
「この訛(なま)りはね~、どこのだろ?」
僕は自分で自分に訛(なま)りがあるなんて、はっきり意識した事は無かったけど、大学の頃や、どこかよその土地に行った時、たまに言われる事がある。
特に、今現在のように酒が入っている時なら、なおさらなのだろう。
「ねえ、どこ?」
「わかんない?」
「わかんない」
まあたぶん、ちょっとした抑揚(イントネーション)の違い程度だと思う。僕だって、彼女が話す言葉や単語に、特別の違和感を覚えていた訳ではないのだから…。
「関東さ」
「関東のどこ?」
「北のほう」
「ふ~ん」
19歳のその女の子は、少し納得したようだ。
僕と、仕事を通して知り合った友人は、二人で「水着パブ」に居た。
「目のやり場に困る」
彼はそう言って、視線が定まらないようだ。
『なに言ってんだよ! イイ年こいて…』
ただ、女の子たちが水着を着ているというだけで、特別エッチな事をするわけではない。
それにだいたい僕は、お酒が入れば入るほど、そんな事はどうでもよくなってしまうタイプで、まあエッチな話題で盛り上がる事もあるけど、「そんな気」は全く無くなってしまうのだ。だから今の僕の状況では、例え彼女達が裸でいようが防寒着を着込んでいようが、大した問題ではない。
『こういうのも、いいもんだ』
僕はもうすでに、ここに来る前から、地酒の日本酒と郷土料理で上機嫌だった。僕が宿泊している駅前近くの居酒屋で、彼と一次会を済ませてあったからだ。
その後、この街一番の歓楽街といわれるこのあたりに、繰り出したのだ。
でも、日曜の晩という事もあって、開いている店は少なく、初めて訪れる「新潟」の飲み屋街は閑散としていた。彼の知っている店は、どこも軒並み休みで、ブラブラしていた僕達は、通りにいた客引きのオニイサンに誘われるまま、この店に入った。でも、前金制のこういった店の方が、かえって安心できる。
幸い僕達の席に付いてくれた女の子たちは…途中、何人か入れ替わったが…皆、地元の女の子で、いろいろとローカルな話題を提供してくれ、短い時間ではあったが、楽しいひと時を過ごす事ができた。
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