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「ないな～」
僕達は、それぞれ手分けして、さして広くない「おみやげコーナー」を見て回っていた。
そこは、最近各地に出現し始めた「道の駅」のひとつ。ここには…温泉なのかどうかは確認しなかったが、銭湯が併設されていて、まだできたてのようだ。
「あった？」
「ない」
そんなやりとりの後、僕がガラス張りの郷土民芸品コーナーをのぞいてみる。
「あっ！」
僕は目を見張る。
『な～んだ』
ちょっとガッカリだ。
店内なので大きな声を出すわけにもいかず、グルッと回って彼を引っ張ってくる。
「これだよ！」
〔小千谷縮(ちぢ)み〕
〔小千谷紬(つむぎ)〕の隣に並んでいる。〔ちぢみ〕とは〔縮(ちぢ)み織り〕の事。同じ絹製品なのだが、〔紬(つむぎ)〕と違ってクシャッとなっている。
後で辞書をひいたところ、表面に小じわを出す織り方・織り物とあった。
「な～んだ。食べ物じゃなかったんだ」
僕達は納得して、そこを後にする。
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