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帰りは「長岡」から、群馬の「高崎」まで上越新幹線に乗り、「高崎」からはローカル線回りでノンビリと帰って来る。
『けっきょく僕は、旅とレースが大好きなんだ』
初めて乗るローカル線の車窓から景色を眺めていると、大きな満足感と共に、フトそんな考えが浮かんで来る。
…朝の大会会場の雰囲気。
(『居るべき場所に帰って来た』という気持ちになる)。
…スタート前のワクワクした気分。
(マラソンの場合、たとえトップを狙うような選手だったとしても、それは純粋な「緊張感」だろう。モータースポーツの場合は、それが「緊張感」なのか「恐怖心」なのか、わからない時がある)。
…そして、走った後の爽快感。
(走っている間に『つらい』『苦しい』なんて思うのは、無理のしすぎか体力不足だ。マラソンの場合、特に僕のような「市民ランナー」レベルでは、体調や実力が如実にでる。モータースポーツのように、「最初に前に出られたから」なんて事は、まず無い。無理は禁物。まず、楽しまなくては)。
「レースは麻薬」なんて言うけれど、旅だってそうだ。しばらく我慢しているとウズウズしてくる。
「レースが麻薬」なら、「旅はクセになるもの」だ。
けっきょく僕は、一生この二つから足を洗えないのだと思う。マラソンなら、かなりの高齢まで楽しめるし…。
そしてもう一つ。たぶん「ものを書くこと」も、ボケてでもしまわないかぎり、やめられないのだと思う。
まあ「ライフ・ワーク」としてこの三つは、なかなかにバランスが良いと思う。
身体と頭と心を全部使って、僕は生きて行きたい。
新潟から戻った数日後。
なにげなく通った「韓国料理」の店先。入口横に張り出されたメニューの数々。
『あれ?』
その品々の中に、フト目にとまる物があった。
「チヂミ」
『あるじゃないか!』
僕は思った。「チヂミ」という食べ物は、確かに存在したのだ。
『韓国のマラソン大会に行く機会があったら、ぜひ食べてみよう』
僕はそう思い、新潟の彼にそう書き送った。
(まだ「韓流ブーム」が来る以前。今でこそポピュラーになった韓国料理「チヂミ」。でもあの頃の僕には、まだ馴染みの薄い物…少なくとも、僕と新潟の彼にとってはそうだった。今では、韓国ではなく、日本の焼肉屋や居酒屋などで、たびたび口にするようになった)。
(1999年10月記す)
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