第1章

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 安堵が全身を満たすことを感じながら、琅は口を尖らせた。 「悪い」  男が……常葉尚吾が小さい声で答えた。一糸の呼吸の乱れもない。つい、琅は眩しさに目を細めてしまう。  光を背に負った男。堂々とした体躯の輪郭を輝きが鮮やかに縁取っている。琅の目には、その姿が、この薄暗い【小指姫】に降り立った太陽そのものに見えた。
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