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「明日からは、もういいから」
「なんで?」
「なんでって……」
背中を向けたまま告げた言葉はお気に召さなかったらしい。
うなじにあった唇が肌をかするように移動し、耳元で低く尋ねる。
「俺のことなら心配しなくていいよ」
止めた言葉の先を読んだのか、チュ。と可愛らしい音をたてて唇を離した彼は、枕に静かに頭を埋め、後ろから私を緩く抱きしめた。
「心配なんてしてない」
「なら何で謝ったの?俺に悪いと思ったから謝ったんじゃないの?迷惑かけるかもしれない。って」
「違う」
「『助けてくれてありがとう』も言わないのは、俺を厄介ごとに巻き込みたくないからでしょ」
「違うってば」
「あのね。雛森に庇ってもらうほど弱くもないし、『関係ない』で処理されるのも嫌だからね。俺」
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