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「……悪かったな」
小さく聞こえた声に部長を見上げた。
「さっき聞きました」
煙を吐く横顔は、楽しそうな笑い声を上げる自分の部下達へと向けられたまま。
「そうか」
フッ…と緩んだ表情をじっと見つめる。
「……」
「……」
少しの沈黙。
煙草の匂いと共に香る、身体に馴染みすぎた部長の香水を胸の奥まで吸い込んだ。
「雛森」
「はい」
この身体に心地よく響く低い声を聞けるのもあと僅かかと思うと、妙に感慨深い。
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