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「部長。『今日はみんな朝まで帰さない!』って佐藤くんが騒いでますけど。どうしますか?」
ひとまず一次会を終え、お店を出た玄関横。
灰皿が置かれた喫煙スペースで、立ったまま煙草を燻らす部長に声をかけた。
お店を照らす仄かな明かりが部長と私に落ち、2つの影が並ぶ。
「おー。いいぞ。そのつもりだから」
くわえていた煙草を口から離し、ニカッと笑う部長。腕時計で時間を確認しないということは、奥様には既に了解済みなんだろう。
今日で最後だし、疑いも晴れたんだから当然か。とは思うが
「雛森は?」
「私は遠慮しておきます」
「そうか。気をつけて帰れよ」
良かった。と素直に感じられないのは、何故なんだろう。
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